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『CRMベストプラクティス白書』
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■『カスタマーマーケティングメソッド』(東洋経済)
ジェイ・カリー/アダム・カリー著 (2001年刊)

●訳者あとがき

 本著は、「カスタマーピラミッド」というモデル図をベースに、CRMの斬新なIT利用面より、むしろ、どのようにCRMを顧客分類からカスタマーケアーまで実践すればよいかを説いている。 ITそのものが重要というより、それを使うCRMの基本ロジックと顧客データをどうするかに焦点を当てている。 そして、後半ではインターネットとの連携と活用のどこに留意し、マーケティングの実践手法へと確立していくかについて対話式に述べている。

 こうした執筆方法は、ある意味で両者がどのように相互にコラボレーションしながらインターネットをCRMで活用してきたか、そして現場での実践化にどう具体化してきたか、を物語るものといえよう。 CRMは何か最初から原理が確立されていて、そこから枝分けれした実践手法があるのではないからだ。 重要なのは、著者のジェイ・カリーが述べるごとく、「モデル」としてまず仮説を持った形で実践してみる姿勢だ。 そこには、顧客分類ひとつにしても、各業界や企業によってそれぞれの顔をもった特徴があることがわかる。 そのモデルをどう創るか、そこでのプロセスをよりわかりやすくするために著者らは、"インターテック"という100人ほどの仮想のIT企業を設定し、物語風のアレンジを加えている。

 従来のCRMの本というと、原理に偏ったり大手企業を中心に論じていたりで、現実に抱える現場の問題を抜きにしたものが多かった。 ところが、この本では、あたかも読者は自らがインターテック社の経営者という気持ちで読むことだろう。 どこのどのタイミングでCRMプロジェクトが失敗をするか、または成功するのか。 本当に知りたいのは、そうしたCRMの実践プロセスの中にある"落とし穴"だが、見込み顧客からロイヤルティ顧客まで、インターテック社がどうその顧客層にマッチしたマーケティング戦略や対策を練るのか、各担当者のキャラクターに合わせて読むとドキュメント小説のごとく楽しめる。 こうした著者らの工夫にこそ、彼らの読者や顧客への見方、顧客中心ということが表われているのである。

 さらに、本著にはアンケートの例や会計データの表などサンプル事例も豊富だ。 とくに顧客へのアンケートは単に事例としての参考になる以上に、日米の顧客対応の違いや、CRMに対する実践の取り組みの仕方の相違を表すものだろう。 通常、アンケートでは他社の商品で何を購入したかや、その商品を買う予定かなど聞きにくいものだ。それを率直に文章化しているところなど、米国式のアンケートはかなりストレートな問いかけをするという印象を持つかもしれない。
ところが、こうした顧客ごとの行動履歴の内容は「顧客シェア」を把握するためには不可欠なものなのである。
 
 CRMでは、市場シェアという一般的な指標よりも、顧客ごとのシェアを指標化し、それの理解を徹底していくことで、優良顧客との継続したサービスを戦略上の重点にしている。 現在、CRM協議会(www.crma-j.org)でも顧客シェアを指標化し、評価するための手法を開発中だが、本来それらは業界・業種と企業ごとに違ったパターンや規則を持つものであって、固定した一般法則が通用するようなものではない。 また、アンケートをDMやWebで活用する際に注意すべきなのは、顧客が記入するプロセスがその顧客との関わりを深めるチャンスだということだ。 こういった内容は、従来のマーケティング論でもどこかでやっていたのかもしれない。

 だが、実際にはCRMの視点からでなく、企業側のプロダクト中心の売るという視点からのものだった。この違いは以外に大きい、ということに気づくことがまずCRMの出発点である。

 本著はその意味で、中小企業の経営者とマーケティング的発想を現場感覚で把握したい方に推薦するものだ。 また、大学生でCRMを原理書として読まれていて、実際に何をすることなのかを知らない読者にもじっくり読まれることをお薦めする。

(CRM協議会 理事・教育研修委員会長 匠 英一)

■『カスタマーマーケティングメソッド』 藤枝理事長の推薦文(完全版)→

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