A: 顧客満足度(CS)をチェックしていく継続的な仕組みとしてみたときには、CRM
の一部とみなせます。ただし、それだけを指してCRMというのは無理があります。
CRMは営業やマーケティングの”部分最適”をめざす仕組みではないからです。 それなら、「SFA」であり「eマーケティング」というコトバで云えばよいこと。
CRMという場合には、少なくとも計画を中長期におき、全社的な顧客戦略性を重 視しながら、個々の営業やマーケティングをどうするか、その仕組みをどうIT
で構築するか、などを考えなくてはならないからです。実行レベルは小さく開 始してもいいのですが、そのような戦略計画というものがないCRMでは失敗間違
いなし、というのがこれまでの実践での教訓なのです。
『お客様コメントカード』の設置は大事なことですが、これにより収集される 顧客データをどう次の営業や販促などに活用し、どこの部門や担当がどれだけ
他の部門と協力しながら、そのデータを「顧客ライフサイクル」に合わせて、 ブラシュアップしていくか、等の全体の仕組みがどうなっているかこそ重要だと
いえます。
形式だけの顧客の声を聞く仕組みを作っている企業はたくさんあり、そうした 方法は従来の顧客満足中心の「CS運動」として80年代より盛んに日本ではやら
れてきたもの。そういうCS運動とCRMは似て非なるものなのです。たとえば、社 員満足度を第1にかかげてCRMを実践して成功している例などは、日本ではCRMと
は違うように思うかもしれませんが、立派なCRMです。顧客満足度が上がっても、 実際には倒産する会社もたくさんあり、問題は形式的な教義で「顧客第一」を解
釈すること自体の危険性を知ることからCRMは始まるものといえます。 |